2011年3月全くのゼロからタイ語学習をスタート!同年9月から現在に至ってはタイのバンコクに滞在中。バンコクの生活情報やタイ語留学でのおすすめ勉強法や教材などをご紹介していきます。by タイ在住わらしべ長者
不法入国、不法滞在で逮捕!タイの留置場、裁判所、収容所の実態を暴露【第2章】
記事公開日:2016年10月6日
最終更新日:2016年10月12日
バンコクのわらしべです。
現在連載記事を公開中。本日は第2章をお送り致します。
【前回までのあらすじ】マレーシアのパダンベサールからタイの国有鉄道に乗換え、無事に国境越えを果たしました。が、その時にいるはずのイミグレーションオフィサーはおらず、入国手続きをしなかったのがその後も気がかりだった。そしてタイ出国時、思わぬ事態に…
では、さっそく続きをどうぞ!
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【第2章】逮捕
私にとって人生最大の衝撃を受けた日を迎えます。
日本への帰国日、バンコクドンムアン空港へ到着しました。
出発便の確認をすると、フライト時間1時間30分遅れ変更の表示。そういえば2日間ほどWIFI繋げていなかったので変更メール来てたかもと思い空港の無料WIFIを繋げると、案の定メールが来ていました。
SIMカードを購入せず、緊急時は国際電話をつかえばよいとのルールは私のこだわりのひとつで、多少の不便さも旅の醍醐味のうちと考えていたのですが、たまにこういう目に遭います。
長い待ち時間お茶をしながら、今回の旅行は充実していたなと回想し、自己満足に浸っていました。
寝台列車の朝、カンチャナブリへ泰緬鉄道見に行こうと思い立ち、終点のバンコクまで乗らず途中下車したのは正解だったな(この行動は逮捕に影響あったかも。後述)
カンチャナブリでのレンタルバイクは効率的に観光できたな。そういえばレンタル屋の店主、パスポートチェック時にずっと首かしげていたな。スタンプが無いって。
「アイ ライド トゥ トレイン。イミグレーション スルー」「ポリス セイ not have to スタンプ」
で押し切ってバイク借りれたけど。イミグレの件を思い出した。
空港審査でなにか言われるだろうか?鉄道チケット取ってあるので、見せて言われたこと説明すれば問題ないだろう。
席を立ち、荷物チェック、出国審査に並び順番が来ます。パスポートを出すこと数十秒、担当審査官はずっとパラパラとパスポートのページをめくっています。
想定内です。
鉄道チケットを見せ、
「アイ ライド トゥ トレイン。イミグレーション スルー」「ポリス セイ not have to スタンプ」
と話しました。レンタル屋の店主に話すのと同じ調子で。
担当官はなにかボタンスイッチを押しました。すぐに2名の別の審査官?が来て、私を手招きします。そのまま数メートル先の、透明ガラスに四方囲まれて外から丸見えの審査官待機小屋に入り、英語で説明を求められました。
身振り手振りを交えながら、先程のセリフに毛が生えた程度の説明を繰り返しました。
「国境駅のイミグレに人はいなかった」
「列車内の警察官は not have to スタンプ と言った」
審査官は「そんなはずはない」
「列車に警察官は乗っていない イミグレの審査官も乗っていない。あなたは乗務員とまちがえている」
列車の警察官はもしかしたら乗務員だったのもしれない・・。
そうだとすると「not have to ゴニョゴニョ」は「ここでは私に見せる」必要がないとでも言っていたのだろうか?
「私はイミグレを探しました」
「私は、プリーズ スタンプと言って探し回ったのです」
「どうしてもスタンプが必要なら、それは国境駅のミスです」
何度も待たされ、違う審査官?が来ては、同じ説明を繰り返し、また待たされます。。出国審査を終えた人たちが、皆じろじろと私を見ながら直ぐそばを通り過ぎていきます。
日本人通ったら声をかけて、もっと詳しく伝えてもらおうかなとも考えました。しかしこの時私はまだ気軽な気分で、
「これからどうなるのかな~」
「空港で引っかかって別室ってよく聞くけど、私もそれを経験できるのかも。ワクワク」
お気楽気分な私。
刻々と時は過ぎていきます。
フライト時間が気になり始めた頃に、航空会社の制服を着た女性が現れ、たどたどしい日本語で書面を読み上げ始めました。
「あなたはその便に乗ることができません。しかし安心してください。あなたは45日以内の便に乗るときに無料でその便に乗ることができます。」
え?
乗れない・・
それよりも安心してくださいって何?
無料ってことに安心してくださいって何だそれ・・タイ人の冗談なのか?
・・・面白い!!!
その時、小屋の中で本気に声を出して笑ってしまいました。
そのあとすぐにため息に変わりましたが。
ふぅー今日帰れないか・・。
なかなかの展開になってまいりましたっ!
まだまだお気楽気分な私。
※いえ、この頃からはもう内心青ざめていたのかも。その時々での様々な感情は今となっては詳細には思い出すことができません。
ただ時々の出来事は正確なはずですので、この経験談を読んでくださっている方は御了承を。
「国境駅がミスをした。国境駅に電話して聞いてほしい」
女性の審査官は一番親切に対応してくれて、目の前でパダンベサール駅に電話してくれました。
ただしタイ語での会話なので、一言も理解できません。
長いやり取りの後、電話を切ると「そんな事実はないと言っている」との事。
冷静に考えれば確かにそうだったと認めるわけもありません。
さらに彼女は携帯電話を繋げて、私に渡しました。
訳もわからず電話に出ると 日本語が聞こえてきます。
「私は彼女の母親です。あなたと話しをします」
私の言っていることが理解できず、日本語が少しできる自分の母親に手伝いを求めたのでした。久しぶりの日本語でうれしかったのですが、この時の私はパダンベサール駅に怒っていたのもあり、
「パダンベサール駅がミスを認めないなら、私は訴えるつもりです。」
「私の損害も賠償してもらいたい」等と、いまいちこの時に必要な件とは思えないことを、電話口に延々喋っていました。
もし訴えるなら、全てが終わった後に訴えればよい。
本当に必要なのは、スタンプ無しに至った詳細な説明のはずなのに。
最後に母親は「スタンプが無いのはひじょうに良くない状態です」と言い電話を終えました。彼女も困った顔をしています。
飛行機はもう飛び立っていったはず・・
今までとはまた違う制服を着た男4名程が私をどこかへ連れていくことになりました。間違いなく警察官です。いままでは警察官ではなかったのかな。
入れ代わり立ち代わり来た人はいったい何者なのかさえ分かっていない私です。キャリーバックを自分で転がしながら、出国審査場を人の流れの反対に進み、箇所箇所を警官と私がどんどんスルーして歩いていきます。
気のせいか警官に囲まれているような・・それとなく絶妙な間隔で私を間違いなく囲んでいます。人の注目を浴びまくりです。
いやー今私はすごい経験をしてるなあと他人事のような感覚。
関係者以外立ち入り禁止のエリアまで歩いていき、人気のない広い事務室に入りました。来客用ソファに座り、しばらく放置されます。
一人の警官が熱心にパソコンの作業をしています。離れた位置に一人警官が何をするでもなく立っています。私の見張りでした。
この後どうなるのだろう。日本語通じる人いないのかな?
・・そうだ!
今頃思い出しました。彼ならきっと力になってくれるはず。
私の地元のちょっとした有力者の安田さん(仮名)。現在はバンコクに住んでいます。
確かタイ語も話せるはず。連絡取れるか?
見張りの警官に携帯の使用OKか聞くとすんなりOK。なんだもっと早く聞いておけばよかった。
彼に日本経由で国際電話をかけます。
挨拶もそこそこに事情を話します。
「わかった。手を尽くしてみる。しばらく待って。ひとつ大事なこと。安易に賄賂をこちらからもちかけるな。」
彼の言葉を聞いてすごく穏やかな気持ちになることができました。
やはり、それまでは一人で言葉の通じないやり取り。不安な気持ちでいっぱいだったのです。
心に余裕ができると、いろんなこと、やるべきことに気づきます。
携帯OKならWIFI使えるんじゃないか?ここは空港。やはり繋がりました。
妻への連絡。LINEで電話する。事情を説明。※1番心配をかけたであろう妻及び家族。只々お詫びとそして感謝。そのやりとりはここでは割愛させていただきます。
警官にタバコOKかと聞くとこれまたOK。
吸うところは空港客と同じ喫煙ルーム。そこまで警官と共に移動し物陰から私を見張っています。
不安緊張の影響か、何回かお願いし連れて行ってもらいました。
やがてパソコンをしていた警官が、書類を持ってきてここにサインと要求されました。
全く読めないタイ語で書かれた10枚ほどの書類の一部には、鉄道チケットのコピーも添付されていました。
供述書と思われるのですが、読めない私にはサインすべきか判断がつきません。
しばらく時間をもらい、警官が少し離れたすきに書類の写真を撮り、LINEで安田さんに送ります。
すぐに返信「やはり供述書だね。特に問題はない、聞いている通りだ」
だがもうここではサインの要求は2度とありませんでした。
かれこれトラブル発生から5時間は経過。
また移動。
今度は空港警察署です。入口にそう書いてありました。旅客ターミナルの一角にあります。
日本語通訳が来てくれました。タイ人のゴーさん。一瞬とてもうれしかったが、通訳とは名ばかりでスマホの翻訳機片手になんとかわかる程度で
日常会話もきびしい。
うまく伝わらないので、私が疲れているのもあり、正直イラつくことのほうが多かったです。
※あとで通訳の人はボランティアでやっていることが判り、申し訳なかったです。
またここでも一から説明し始めます。
なんとか通訳を通して、より詳細に経緯を伝えました。
聞き手は一番偉い人が座るような席で、パソコンに入力しながら質問をしていきます。
言葉が少し威圧的に感じる。主任レベルらしい。
「鉄道チケットの行先のバンコクまで乗ったのですね?」
私は正直に、
「いいえ。途中で降りてカンチャナブリまで行きました。」
「なぜですか?」
「私は鉄道が好きなので、泰緬鉄道を見に行きました。」
「バンコク駅まで乗ったと聞いています。うそをついたのですか?」
私には途中下車して云々を伝える語学力がないので、些細なこととして「アイ ゴートゥー バンコックステ-ーション バイ トレイン」等と言った記憶は確かにあります。
心証を悪くしたかも知れません。
さらに後でネットで知った事ですが、カンチャナブリはミャンマーに接していて、不法入国の多い地域らしく、私がここで調べられているのはどんな理由にせよ不法入国での嫌疑。
何か思われても不思議ではありません。
私が泰緬鉄道を見に行ったと話しても、通訳は泰緬の単語を理解できていなかったので、何しに行ったのか恐らく伝わっていなかったと思われます。
正直まだこの時点でも、まもなく解放されるのではと真剣に思っていました。
が、かろうじて伝わってくる内容はとんでもないことばかりの連発。
「あなたは2日間警察に行かなければならない」
「あなたは40日間タイに滞在する」
「あなたは選ぶことができる」
「お金を払うと40日間タイのホテルに泊まることができる」
「お金がないと40日間警察に泊まらなければならない」
「あなたは裁判をうける」
おいおい通訳間違ってません?本当に警察はそう言っているの?しかしさすがに日数などは間違えようがない。
何度も聞き直します。何度も同じ内容が返ってきます。
40日間ホテルか警察かどちらを選ぶか聞いてきます。選ぶって・・どちらにしても40日。40日・・・。
この時詳細には記憶していませんが、頭の中はパニック状態でした。
助けて安田さん!!
警官に
「私にはバンコクの友人がいる。電話をかけさせてほしい」
許可をもらい電話を掛ける。
「安田さん、助けて!40日って言ってる。そんな馬鹿な!」
警官に電話を変わり、直接話してもらう。
電話での交渉をずっと待ち続ける。
話が終わり安田さんから
「大丈夫だ。40日は最悪の場合のことを言っていた。裁判の判決に40日ほどかかる場合があるって事だ。2日間は仕方ないみたいだが。明日俺に来るようにと言っている。明日行って交渉するから。」
「え!? 2日間は仕方ないって、2日間は警察ってこと? え!?これって逮捕ってこと?!!」
「どうやらそのようだ。」
電話を繋いだまま、通訳にも「私は逮捕!?」と聞く。
通訳のゴーさんは「はい そうです」と残念そうに答えました。
【第3章】留置場に続く
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