2011年3月全くのゼロからタイ語学習をスタート!同年9月から現在に至ってはタイのバンコクに滞在中。バンコクの生活情報やタイ語留学でのおすすめ勉強法や教材などをご紹介していきます。by タイ在住わらしべ長者
不法入国、不法滞在で逮捕!タイの留置場、裁判所、収容所の実態を暴露【第4章】
記事公開日:2016年10月8日
最終更新日:2016年10月12日
バンコクのわらしべです。
現在連載記事を公開中。本日は第4章をお送り致します。
【前回までのあらすじ】タイ出国時に入国スタンプがない事から不法入国、不法滞在者とみなされ逮捕。その後、警官に連れられ鉄格子の留置所に入れられる。翌日、人生初の手錠をされ護送車で裁判所へ向かう事となった。
では、さっそく続きをどうぞ!
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【第4章】裁判
警官が乗り込まず見張りのいない護送車の中で、皆わいわいしゃべりながら、1時間程走ったのか到着。
間違いなく裁判所です。
数珠繋ぎが再編成され、おばさんと10代の男の子と私がセットでおてて繋ぎの3人組となり、いかにも法廷場らしい雰囲気の大きな会場へ入りました。
前のほうに十数名が長椅子に座っています。傍聴客かと思ったら、皆数珠繋ぎで手錠のかかった容疑者達でした。
その人達の後列に座り待ちます。他の留置場仲間とは知らない間に別れ、どこに行ったのか見当たずここにはいません。
安田さんが現れ安堵、私の横に座ります。安田さんは通訳の立場でここに同席となりました。待ち時間の間、やっと安田さんと腰を落ち着けて話します。それまでは鉄格子をはさんでの必要最低限の会話のみだったので。
「いや~しかし参りました。こんなことになるとは。ほんと助かりました。」
「この後昼ご飯食べません?お礼に奢りますよ」
「でもやっぱりシャワー浴びたいので近くにホテル取れませんかね?ここはバンコクの中心街ですか?」
「やっぱり夕食をゆっくりってことにしましょうか?私の出所祝いで笑」
気分よく軽口をたたいておりました。
予想される罰金代やいろいろ迷惑をかけて立て替えてもらった経費をこの場で精算。やはり賄賂を渡したとの事。片手しか空いてないので財布を取り出すのに苦労しながら渡します。
安田さんが「念の為バーツを持っておけ。この後の流れは私も詳細には判らないから」と1000バーツ札を数枚受けとっておきました。
そういえば、キャリーバックや貴重品は安田さんも受けとっておらず、警察署に置いたまま。
あれ?じゃあ何にしても1回は戻らなきゃいけないのか?
時間は11時過ぎ頃、法衣をきた女性の裁判官が入場すると、全員起立します。
裁判が始まりました。
一人ずつ名前を呼ばれては立ち上がり、すぐ判決が出て、また次へ。
へぇ~簡易裁判ってこんな感じなのか?
安田さんが「あいつは何罪で判決は罰金○○バーツだ。あいつは懲役だ。」と教えてくれます。
ある一人が判決に不服で少々長引きましたが、まもなく私の順番のはず。
すると一旦休憩が入りました。
昼時間がきてしまい、要は裁判官達のお昼時間のようです。
安田さんと一旦別れ、手錠3人組のうちおばさんが切り離され、2人組で隔離部屋に行かされます。
これが非常に待たされ、昼食も無し、おてて繋ぎなのでトイレもままならず、相棒の男の子は重度の○○○中毒者の症状なのか留置場の中でもほとんど寝ていて、この部屋でも横にならせてほしいと頼むので、私も一歩も動くことができずただ待ち続けます。
やっと呼ばれ、再開はなんと2時過ぎ。
安田さんも「日本と比べると感覚が違う。タイのこういったところははっきり言っていい加減だ。」と言ってました。
そして私の順番がやってきました。
隣と繋がったままなので、少々斜めの起立姿勢で判決を受けます。
裁判官より「本来なら不法入国で4ヶ月、不法滞在で4ヶ月の計8ヶ月の懲役だが、初犯のため、判決は5,000バーツの罰金のみとする」
私は「はい」と日本語で言い、一礼をして座りました。
こんなことで最大8ヶ月がありえたのか?
不法入国となった日から不法滞在にもなり2つの罪になるのか?
とにかく結果は想定内の罰金刑のみ。金額も予想通りで日本でいえば駐車違反の反則金程度。
他の全員の判決終了を待ちながら、複雑な心境でいました。
しかしここが終われば解放されるんだ。
全員が終わりました。
このあとどのような手順かと、そのまま繋がれたまま待ちます。
そばで安田さんが私を連れてきた警官と話しています。
険しい表情をして揉めています。
「今午後3時過ぎで、もう一つ寄るところがもう間に合わない。残り2人もこの後どこかへ送らなければいけない。今日は留置場に戻って開放は明日だと言っている。」
・・何だと。
猛烈に怒りが湧き上がります。
安田さんが抗議を続けるも、警官はもう出発しなければならないと私と安田さんと引き離します。
距離が遠ざかる最中も、
「ちょっと!!安田さん!!助けてって!もうやだって!!」
「安田さん!!!」
護送車に乗せられます。
行きに一緒だった皆の行方はわからず、3人組のみを乗せて走り始めました。
2人を別々の収容所っぽい所に送り、留置場に戻ったのは夜でした。
後で時間を推測すると、5時間は走り続けていました。途中で給油にも寄っていました。護送車の中では、怒り、落ち込み、恐怖等の様々な感情の繰り返しでした。
あの後、安田さんの交渉がうまくいって、警察に到着後すぐ解放されるのではとも期待しましたが、その期待はかないませんでした。
ミャンマー兄弟も戻っていました。別れの挨拶を交わしたのにまた再開で、お互いに苦笑いです。
留置場の中から警官に携帯使用を頼みます。
少額紙幣が底をついているので、頼み事ごとに1000バーツ札を渡します。もちろん賄賂にお釣りなどありません。
もう携帯の電池も残り少なくなっています。
安田さんに掛けます。
少ない時間の中、「もう一つの所へは、どうしても護送車で連れていくとのことだ。裁判後解放と言っていたのに。留置場には48時間までとのルールのはずなので(真偽不明)、強く抗議したが聞いてくれない。私も仕事があるので明日は行けないが、代わりに私の部下を朝一に行かせて、そちらで彼女に交渉させる。日本人の私よりも、タイ人の彼女のほうがうまくいくかもしれない。頑張ってくれ。」
安田さんには私の為に随分時間も労力も使ってもらっています。これ以上無理ばかりお願いすることもできません。
今度こそ明日解放されるんだ。その思いだけで、また一晩を耐え忍びました。
中にはミャンマー兄弟だけでしたが、また徐々に新人が増え始め、この中の勝手がわかるのは私なので、私が牢名主のように留置場のルールを新人たちに教えていました。前の2日間は少なくとも付き合ってみて穏やかな人ばかりでしたが、今度は見るからに悪そうな威圧してくる奴等も入ってきて、長老として秩序を保つのに苦労しました。笑
また一番身体的にきつかったのが、いじわるな警官の当番になってしまい、日本人を嫌いなのか私にミネラルウォーターを支給してくれなくなったり、様々な頼み事を、私だけでなく他の者達のことまで聞いてくれず、非常につらい状況が続きました。
時計がないので時間も判らないまま、
ともあれ、再度の待望の朝を迎えました。
日がさし始めて随分時間が過ぎたはずです。
2回目のビニール袋に入った食事が出てきたのでこれは昼食で、もう正午前後のはずです。
また警官に携帯を頼むか考えているときに、それらしき女性が現れました。
彼女は朝からここで警官と交渉してくれていたようです。
彼女は、日本語は無理で英語は話せますが、何せ私がほとんど理解できません。
彼女は自身の携帯で電話を掛け、携帯を面会の空気穴の空いたガラス窓に当てます。私がガラス窓に耳を当てると安田さんの声。耳を当てては、首を90度戻して私が話すのを繰り返し、聞けた内容は、
「そこの警察が、またもう1日留置場だと言い出している。理由は昨日の護送車の運転手の警官。彼が来ない。病院に行くので今日は休むかもと言ってる。」
・・なんじゃそりゃ!!
そんな事で簡単にもう1日ってなるのか?代わりはいるだろ!なんだこの国は!!腐ってる!!!
この時の感情もうまく説明できませんので割愛。
私の様子を見て、彼女も申し訳なさそうに、わたしの視界からいなくなりました。
私の居場所に定着した通路で、膝をかかえてうずくまりうなだれまま、どれくらいたったのでしょうか。
座っている位置から見える先に突然、彼女が私のキャリーバックを引いて現れました。
?
なんだ?帰ったんじゃなかったのか?
私のかばん???
出れるのか???出れるのか!!!
今日はミャンマー兄弟2人とおてて繋いでここを出ます。
昨日の護送車の警官が、私に腕の注射痕を見せてきます。
どうやら俺は病気なのに来てやったんだぞと言っているようです。
彼女から私の全ての荷物を受け取って護送車に乗り込みます。
彼女に何度も礼を言い別れました。
出発します。やがて空港が見えてきました。空港前のバス停に止まります。ここで私達は降りるのかと思ったら違っていて、なんと護送車の助手席から彼女が降りてきます。彼女をついでに護送車で送ってあげていたのでした。
そこからバスに乗って帰ったの事。
そんなのありなんだ。日本の感覚では考えられません。
彼女に金網越しにまた何度も礼を言って別れました。
後で安田さんから聞くには、彼女は朝一番にバスで警察署に行き、午前中ずっと交渉。途中で私と会ったが、私があまりにも気の毒に見えたのでその後もあきらめず粘ってくれたと。
そしてやはり最後に賄賂との事。
本当に本当に感謝。
護送車は走り続けます。
ミャンマー兄弟の弟がご機嫌に大声で歌を歌います。
歌を聴き、金網から吹き込んでくる風に吹かれながら、三流映画のエンディングシーンの主人公みたいだ。と感傷的になり、ずっと回想に耽っていました。
どこへ行くのかわからずに。
【第5章】収容所に続く
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